後藤 聡の Euphonium 雑感


限りなく中途半端な奴への「報われぬ片思い」

中学一年の2学期、吹奏楽部の顧問の先生に「一度見学にこないか?」と言われて、あまり乗り気ではなかったのだが「まぁ見学くらいなら」そんないいかげんな気持ちで放課後の音楽室に連れていかれた。
そして、「この先輩が面倒見てくれるから」といって紹介された先輩は、2つ年上の兄の同級生で小学生の頃に良く一緒に遊んでもらった見覚え有る人。「後藤君でしょ?」と言われたその日から私と Euphonium との付き合いが始まった。
その先輩こそ、現在はテノール歌手として活躍中、当団の Autumun Concert にもゲスト出演して下さり、素晴らしい歌を披露して下さった、あの「梶井 龍太郎」氏だったのは、何かの偶然にしてもちょっと出来すぎかも.....
(ちなみに当時、石井さんは Tuba にバイトに出ていました。)
日本中に何人の Euph. 吹きが存在するかは知らないが、「Euph. がやりた〜い!」と言って吹奏楽部の門を叩いた、と言う人間は恐らく一人も居ないのではないかと思う。(もしいたらぜひお目に掛かって話を伺って見たい。一体いつ、何処でこんなマイナーな楽器を知る機会を得たのだろうか?そして何処に魅力を感じたのか?とっても興味が有る)
大抵はトランペットやサックス、フルートと言ったメジャーな楽器に憧れ希望を出したのだが、ジャンケンやくじ引きに負けた、先生や先輩にテキトーに決められてしまった、それしか楽器が空いていなかった、などなど、情けないほどにつまらない理由によって、渋々 Euphonium という良くわかんない楽器に出会い、なんとなく練習しているうちに、いつの間にかこの楽器にはまってしまい、泥沼のような報われぬ片思いへの道を歩み始める。
もちろんどんな楽器であれ、吹き始めて、楽器の面白さ、難しさ、そして演奏することの楽しさ、音楽を作り上げて行くことの素晴らしさを経験し、「はまって行く」 と言ったことは存在するのだが、Euph. の場合、そのプロセスが他の楽器に比較して明らかな相違点が存在する様に感じられる。こう思うのは決して私一人ではないと思う。
何故か?それこそ Euph. と言う楽器の存在、その置かれた状況が、他の楽器と大きく違っている事によるものだと私は推測している。(一応吹奏楽と言う土俵場での話なので予め御承知おきください)
そして本文のタイトルにも有る「限りなく中途半端な奴への報われぬ片思い」へと、世の Euph. 奏者を麻薬的に誘う。

Euphonum はとってもマイナーな楽器である。

都市部であれば、中学、高校が10校あればそのうちの7校くらいには吹奏楽部が存在すると思う。(別に統計をとった訳ではないのであくまでも推測値程度のものですが)そして当然そこには1人や2人の Euph. 吹きがいる訳で、体育祭、文化祭といった場面で、演奏にお目に掛かる機会もまま有る筈(お耳に掛かるかな?)
当然そこでは Euph. にもお目に掛かっている筈なのだが......世間一般ではこの地味〜な楽器は全くと言っていいほど知られていない。ちょ〜っと考えて見てくださいよ、スクールバンドの編成を思い起こせば、人数的には Tp.、Tb. の半分くらい、Sax. の1/3くらいは居る訳で、楽器人口としては Oboe や Faggot の方がよっぽど少ない筈じゃ〜ございませんか?
それなのに、この楽器は、悲しいほどに知名度が低い。
Euph. 吹きなら誰でも、一度ならずこんな経験をしたことが有るでしょ?

「○○君吹奏楽部なんだ、楽器は何やってるの?」
「Euphonium だよ」
「何それ?」

こんな時、我々 Euph. 吹きはなんとも言えない失望感を味わうと同時に、「やっぱり」「またか」と、ため息をつく。 そしてどう説明したら分かってもらえるのかに困り果て、結局「チューバが2廻りくらい小さくなった感じのやつ」などと説明するしかない。極々たま〜に Euph. を知っている人間に偶然にも出会うと、小さな喜びを感じてしまうが、その人達はまず間違いなく吹奏楽経験者、もしくは親しい友人、家族にEuph.吹きが居るといった、いわば関係者。

Euphonium は吹奏楽以外には活動の場がほとんど存在しない。

前述のマイナーな楽器と言うこととダブる部分が多いのだが、Euph. は吹奏楽以外ではほとんど使われることがない。
(だから吹奏楽という土俵上での話しか出来ない訳です)吹奏楽に使われる他の管楽器は、ほとんど例外なく、オーケストラや Jazz、Pops といった、幅広いフィールドに活動の場を有しているが、Euph. にはそれがほとんど無い。
ごく稀にオーケストラにも出演することがあるが、それも極々限られた曲だけである。ムソルグスキーの「展覧会の絵」4曲目ビィドロのソロは特に有名だが、あれも元々は Tuba の譜面。ストラビンスキーの3大バレエ「火の鳥」で、バレエ舞台のバンダでも使われるが、譜面上は Tenor Tuba。元々 Euph.をにらんで書かれた訳ではない。さらに、あのイギリスの作曲家、G.Holst の代表作、組曲「惑星」において、確かに Euph. は使われているのだが、そのスコアを見てみると、「嘘だろ〜...」Tenor Tuba しかも記譜はト音記号で in B♭しかもしかも、あろうことかその楽譜はBoosey&Hawks 版、これって信じられますかぁ〜..........せめて Baritone in B♭にしておいてくれ〜ぇぇぇ..........
世界中の Euph. 吹きの宝物である「吹奏楽の為の第二組曲」第一楽章 March あのあんまりにも有名なソロ、スワンシータウンを我々に授けて下さった、あの Holst 先生ですらこれですよ〜 悲しすぎる......
もちろん、Jazz、Pops といった場面で使われることも皆無と言って良いのでは?
(以前なにかの本で Jazz の Euph. 奏者が居る、と言うような話を聞いたことが有ったような気がしたが、どなたか御存知の方がおられましたらぜひ御一報ください)
少なくとも私はその演奏にお目にかかったことがない。ゆえにそのマイナーさは更に加速してゆく。

Euphonium は歴史が浅い

御存知の通り、現在ある金管楽器の中では Euph. は最も歴史が浅い。当然 Euph. の為の古典作品など存在する筈も無い。
モーツァルトやハイドンの時代にはこの楽器はまだ存在していないんだから、当然のごとくその為の作品も存在しない。Euph. の原形を作ったのはベルギーの楽器開発者「アドルフ サックス」そう、あのサックスを作ったサックスさんです。(母国ベルギーでは 200BF 紙幣の肖像にもなっている超有名人)彼の考案した一連の円錐管金管楽器、いわゆる「サクソルン属」の中のサクソルン.バスという楽器から発展し、その後改良が加えられ England あたりでほぼ現在の形になったらしい。正確にいつ頃開発されたのかは定かでは有りませんが、彼が生きたのが 1814〜1894 年、サクソルン属が開発されたのが 1845 年頃と記憶しているので、Euph. の歴史は原形から数えてもおよそ 150 年くらいでしかない。
(サクソルン.バスの起源、現在の形になったのがいつ頃なのか、御存知の方がおられましたらぜひ御一報下さい。)
歴史が浅い=完成度が低い、かと思うとそうでもなさそう。歴史が浅いだけに、それ以前に開発された各金管楽器群のヴァルブシステムなどの長所を有効に取り入れて、デザイン的にも機能的にもかなり洗練されていることは間違いない。
有名な Besson 社のコンペンセィティングシステムなどは、かなり画期的なセミダブルのシステムで、Euph. の音域を有効に低い方に広げているし、Wilson、Yamaha を始め、Euph.を製造している代表的な各社がこのシステムのライセンスを取得し自社の楽器に採用している程のなかなか優れ物のシステムだと思う。だが、これにも大きな功罪が有りはしないか?各社の楽器をよ〜く見比べて見て欲しい。な〜んだかどれもこれも同じように見えはしないか?まあそれなりに、各社の特徴やアイディア、工夫している部分は有るのだが、大別すればみ〜んな「Besson のレプリカ」と言えないことはないでしょう。おかげで特徴ある楽器、個性的な楽器、変な?楽器と言った物が存在しない。
(フランス管やドイツ管の楽器は確かに違う特徴を有してはいるが、あれはやはり我々が一般に言う Euph. とは一線を画す楽器だと思うのでここではあえて追求しない)
ちなみに Euph. 用のマウスピースというものもほとんど存在しない。Denis Wick だけかな〜?
基本的には豊富なトロンボーン用のマウスピースの中から Euph. に都合のよいものを使わせて頂いている。

Euphonium は音色の変化に乏しい

Euph. の音色は大変美しい。優美でまろやかなこの楽器独特の音色は大変魅力的で、且つまた適度な運動性も備え、聴く者を魅了する。だが残念なことに Euph. は音色の変化に乏しい。最低音から最高音に至るまでその音色は大きく変化することがない。例えばトランペット、華やかなファンファーレから、むせび泣くようなブルースまでその音色の変化を活かして多才な演奏を提供する。トロンボーンしかり、ベルを震わせるような炸裂音から、あの甘美なグレン.ミラーのムーンライトセレナーデまで実に幅広い音色の変化を持って聴く者を魅了する。
確かに Tp.、Tb. といった直線的な管の楽器は、強烈なアタックや炸裂音を出すには遥かに長けている。
ならば同じようにグルグルと巻いた楽器、ホルンと比べたら? ホルンも Euph. と同じように、大変美しいまろやかな音色を有している。と同時にハンティングホーン以来の伝統だろうか? トランペットにも負けず劣らずの華やかなファンファーレも聴かせてくれる。更にこの楽器独特のゲシュトップ奏法による閉塞音まで、音色の変化という点では金管楽器の中では No.1 だろう。
それなら同じような格好をして、もっとでっかいテューバとの比較では?
全ての管楽器は一般に高音は直線的に伝わり、低音は横方向に広がる、という特徴を有しているのだが、まず、高音楽器ではこの特徴を体感しにくい。同様に、Tp. Tb. のように構造が直線的でベルが前方を向いた楽器もこの特徴を体感しにくい。一見(一聴かな)すると、いつもボンボン演奏している、といった印象の強いテューバだが、その音域はとても広く、その構造と奏する周波数帯域は、この特徴を最も体感しやすい。これがこの楽器に大きな表現力を与える。また強烈なアタックや炸裂音も Euph. を遥かにしのぐ。
私の手元に有る資料に、ホルン、トランペット、トロンボ-ンの周波数スペクトルがあるが、それによると、Tp. は、基音に対して高次の倍音成分は、倍音次数が上がるにつれ第5次倍音付近を頂点に徐々に上昇し、そこを境に徐々に減少し、第20次倍音付近でほぼゼロになり、言うなれば「かまぼこ型」の特性を有する。Tb.も1オクターブ下でほぼ同一の特性を示している。(高次の倍音成分を多く含む事は華やかな音色を意味する。)この第5次倍音付近の盛り上がりが、Tp. Tb. の音色を特徴付けているものと推測出来る。これに対してホルンは、ff では第30次倍音近くまで基音とほぼ同じ程度の高いレベルの倍音を含む輝かしい音なのに対し、mf では、ほぼ第4次倍音まで、pp になると、ほぼ第2次倍音までで、音色が格段にやわらかくなる。ゲシュトップ奏法では、高次倍音のレベルが普通奏法よりはむしろ高くなっている事も有って、金属的で、決してやわらかな音色ではない事を示している。このようにホルンはその奏法によって非常に変化に富む音が出せるのである。だからホルンがトランペットにも負けぬ華やかなファンファ-レを奏しても決して不思議では無いのが頷ける。
残念ながらテューバの資料が無いのだが、恐らくホルンと似た傾向を示すではないかと推測している。
そしてもちろん Euph. の資料も無い。もし有ったらぜひ拝見して見たいが、たぶん何処にも存在しないだろうなぁ〜......
ならば自分で測定してみるしかないか? 残念ながら私の手元には周波数アナライザーが無いので今のところ不可能だがこれを何処かで借りて来られれば測定は充分可能ですからいつか実験して見たいものである。

話を元に戻しましょう。音色の変化に乏しいということは音楽の表現力の幅を狭めることにもつながる。私も Euph. 吹きの端くれですから、過去には数多くのレコード、CDなどを聴きあさり、名プレーヤーたちの演奏を自らの学習の糧として来たつもりではありますが、確かに Euph. を奏する者として、彼らの演奏は実に素晴らしい。その美しい音色や見事なテクニックに酔いしれ、感心、感動、圧倒されることは間違いない。ただ、聴き続けているうちにふと感じることが無いだろうか? 何か物足りない、素晴らしい演奏だが聴いていてちょっと飽きる、Euph. 吹きならばそれなりに、その高い演奏テクニックや素晴らしい音色を楽しめるが、果たしてこれが一般の音楽ファンを納得させられるだけの魅力を有しているのだろうか?と、その原因が、音色の変化の乏しさに起因する「表現力の平坦さ」に有るのではないかと私は思う。
残念なことに Euph. には強烈なアタックも、炸裂音も出し難い。ファンファーレを奏したとしても華やかさには欠けるし、胸倉を捕まれるようなドキッとするような情景変化を、その音色で表現することは困難であろう。

如何でしょうか? Euph. の置かれている現状は、今ひとつ「中途半端」と言えるのではないでしょうか?
吹奏楽の中では欠くことの出来ない重要なポジションを占め、さほど珍しい楽器でも無いにもかかわらず、その知名度は決して高くはなく、演奏活動の場も限られる。そして更に、最も残念な事に、この楽器を象徴するような楽曲にも決して恵まれているとは言えないでしょう。故に、世の Euph. 吹きたちは、半ば同情的に、或はそんな現状に反抗的に、この楽器への思い入れを一段と深め、ずぶずぶとはまって行く。さながら「報われぬ片思い」にも似て....... (そこまで言ってしまうと、ロマンチストというよりマゾヒストか?)
だが、ここまでを読んで「思わず頷いてしまった」「笑ってしまった」「涙した」(そんな訳はないだろうが....) そんな方、既に同じ道を歩んでいる事は疑う余地も無いでしょう?
そして当然の様に活躍の場の少ないアマチュアの Euph. 吹きは、スクールバンドから引退の後には市民吹奏楽団などに演奏の場を求めて集まる。当団にもいつの間にかそんな奴等が6人も集まってしまった..........
だが、それ故に Euph. 吹きにはマイナーな楽しみも存在する。近年、衛星放送やケーブルテレビの普及により、大変うれしい事に多くのオーケストラの演奏を居ながらにして映像で楽しめる機会が増えて来た。そして、たまたま「展覧会の絵」や「惑星」の放送が有ったりすると「Euph. は誰かな?」といった密かな楽しみを与えてくれる。プロとして活躍している Euph. 奏者の人数はそれ程多くはないので、大抵はどなたか分かってしまう。そして次回の練習の際の話の種となる。
プロの奏者の人数がそれ程多くないと言う事は、当然リリースされる CD などの数も限られる訳で、僅かな情報を頼りに、掘り出し物の CD を探すのも密かな楽しみである。そして楽譜もまた然りである。そういった点でもインターネットは大変有り難い。以前だったらバンドジャーナルやパイパースといった雑誌くらいしか情報源が無かったよなぁ〜.....
そしていつの間にか TOWER や HMV でも結構マニアックな輸入版が入手出来るようになった。その昔は秋葉原の石○電気のレコードショップくらいしかそんなもん置いてなかったもんなぁ〜..... つくづくよい時代になったものだ。

さて、長々と Euph. の欠点めいた事ばかりを羅列して来たようで大変申し訳なく存じます。
私も Euph. 吹きの端くれ由、この楽器をこよなく愛し、過去、現在、最も長く、最も Deep に付き合っている事はまちがい有りませんし、未来に向けても私の体力の続く限り付き合い続けて行く事は間違いないでしょう。
(妻とは別れてしまったが Euph. と別れる事は今のところ考えられない)決して悪口を並べ立てている訳では毛頭無い事を御理解頂きたい。ただ、Euph. の置かれている現状は、多かれ少なかれ前記のような状況に有るものと思います。この現状認識の上に、未来に向けて Euph. のポピュラリティーをもっともっと向上させたいと思う訳です。その為に何が有効な事なのかを考え、幾つか提案してみたい。

まずは、吹奏楽の地位の向上が必要ではないか?

  御存知のように吹奏楽は今のところ Euph. が唯一定位置を持つ演奏形態です。諸外国に比べても日本は、スクールバンドをはじめとして吹奏楽はかなり盛んだと思います。日本中、何処へ行っても必ずといっていい程、多くの中学校、高校には通称「ブラバン」と呼ばれる吹奏楽部が存在する。また、当団のようなアマチュアの市民吹奏楽団といったものもかなりの数が存在するし、その平均的な演奏レベルは決して悲観する程低くはないと思う。
だが、世間一般の音楽ファンには、「吹奏楽=学校のブラバン=それ程鑑賞には値しないもの」 そんな公式を持っておられる方が多いようである。(実際に稚拙な演奏のアマチュアバンドが多い事も事実だが......) 確かに運動会の行進のリズムのよたよたしたマーチや、出来の悪い編曲の、ワーグナーの序曲の今にも止まりそうな危なっかしい演奏を聴かされてはそう思われても無理はない話なのだが.......... だが、そんな方々も自分の娘が習うピアノ教室の発表会では、いかにも危なっかしい演奏に拍手喝采を送り、たとえ稚拙な演奏を目の当りにしても、ピアノという楽器の価値を軽んじる事はないでしょう。同様にアマチュアのオーケストラの、ヨレヨレ、ヨタヨタの交響曲を聴かされたとしても、オーケストラという演奏形態や、ベートーベンを軽んじる事もなければ、鑑賞の対象外にする事も無いでしょう。この点に吹奏楽という演奏形態に対する大きな誤解が有りはしないでしょうか?どうも吹奏楽と言うと、「教育の一環」「学校の部活」「アマチュアの」そんな誤った認識が世間一般に有るような気がしてなりません。現実にプロの吹奏楽団も存在し、自衛隊、警察、消防などの音楽隊も比較的身近に存在し、高い演奏能力を有しているにもかかわらず、吹奏楽という演奏形態とその音楽性は、残念ながら一段も二段も低く評価されている事は現実だと思います。吹奏楽に身を置く者として、世間一般にもっと吹奏楽の存在を、決して低くはないその音楽性、表現力、演奏能力をアピールし、その地位を向上させて行く事が必要だと思います。そしてそれは間違いなく Euph. のポピュラリティーの向上にもつながる筈。その為には、多くの聴き手を唸らせるような、魅力的な吹奏楽作品がもっともっと必要だし、高名な指揮者による演奏機会も増えて欲しい。
近年、シエナ吹奏楽団が指揮者に 佐渡 裕氏を迎え、演奏会、CD リリースと活動を広げている。ひとつのよいきっかけとして吹奏楽という演奏形態が一般の音楽ファンの耳に触れ、その地位の向上につながる事を期待したい。 また、10年以上前だったと記憶してますが、F.フェネル指揮、クリーブランド交響楽団管楽セクションによる吹奏楽の CD が何枚かリリースされ、現役のオーケストラのプレイヤーの吹奏楽アルバムという事で、私も期待して購入した。
将来、小澤 征爾 指揮、ウィーンフィル管楽セクションの吹奏楽アルバム、ソリストに 外囿 祥一郎 氏を迎えて「日本の巨匠と、若き Euphonium のヴィルトゥオーゾの夢の共演!」なんて実現しないかなぁ〜?

欠点は裏返せば利点にもなりうる?

数々の Euph. の欠点めいた事や、中途半端だのと書いて来ましたが、気分を害された方もおられる事と思います。
だがそれは、実際にこの楽器の持つ特徴を象徴的に現した訳でして、返す返すも悪口を申し上げるつもりでは毛頭御座いません。それどころか、その特徴は使われ方、使い方によってはとても大きな武器となる事もある訳です。
確かに Euph. は音色の変化に乏しく、高音から低音までその音色は大きく変化しませんが、これは裏返せばメリットにもなりうる事ではありませんか? 全音域にわたって大きく変わらぬ音色で演奏出来る訳なのですから、その特長を充分に活かせる楽曲を選択すれば、これは素晴らしい演奏が可能になる事と思います。同様に、強烈なアタックや炸裂音は出し難いが、その優美でまろやかな音色を活かした、流れるような旋律を表現するのはこの楽器の得意とする所でしょう。
現実に行進曲や吹奏楽のオリジナル作品ではその特徴を実に有効に活かした作品は数多く存在し、表を行くメロディー、裏メロ、行進曲のオブリガートなどなど、当ホームページの冒頭で、三枝 恵子嬢が、「おいしい!」と紹介してるようなフレーズは多々有り、楽曲構成の上で重要なポジションを占めているのはもちろんのこと、Euph. 吹きにとってはこれはたまらない「ごちそう!」でしょう。
ソロの楽曲においても、バッハの無伴奏チェロ組曲、サン.サーンスの白鳥、等のチェロの独奏を活かした曲、或は男声の声楽曲などは、この楽器のそんな特長を最も活かしやすい曲だろうと思います。ほとんどが Tb. 向けではあるが、編曲された楽譜も数多く出版されている。(私は決して上手には吹けないが......チャレンジしてみる価値は大いに有り!)
他にも Euph. の特徴を活かしうる楽曲は多々有る事と思います。色々な曲を探して見たい。また、作曲家の先生方にもこの愛すべき楽器の特徴を活かした魅力的な楽曲をたくさん提供して頂けるようにお願いしたい。

ポピュラリティーを獲得するのにはやっぱりメディアを利用するのが早道か?

さて、吹奏楽の地位向上、特徴を活かした楽曲とそれを演奏する事は確かに Euph. のポピュラリティーの向上に有効な事では有ります。それでもこれだけでは現在有る土俵上に限られる範囲での事にしかすぎません。
もっともっと Euph. のポピュラリティーを向上させる為には、この楽器の存在を全く知らない人々に、その存在を強力にアピールする事が必要でしょう。「あの楽器は何?」「この素敵な音はなんて楽器なの?」そんな疑問と好奇心を、世の人々に思い起こさせるような機会が欲しいものです。その為にはやはりTVという代表的なメディアにEuph.が登場し、多くの人の目に触れるのが一番手っ取り早い方法だとは思いますが、これもなかなか難しい。たまたま、クラシックの音楽番組で Euph. を取り上げて頂いたところで、一般の音楽ファンの関心を引く希望は少ないと思いますし、クラシック音楽のファンにとっても決して興味の対象になる楽器ではない訳だし、(知られていない訳だからそれも致し方ない.......)
そして何よりもクラシック音楽の番組の視聴率はえてして高くはない。そこでこんなアイディアは如何でしょうか?  かなり突飛なアイディアだろうとは思うのですが、もし万が一実現したら、結構面白いかも..........笑笑笑
その媒体こそ、日曜夜8時の「NHKの大河ドラマ」伝統的にこのドラマのテーマはNHK交響楽団が担当している。
このテーマ曲の中で1フレーズでもイイから Euph. によるソロなどを採用してもらえたら? それは間違いなく多くの人々にこの楽器の魅力ある音色を体験してもらえるまたとない機会となる事だろう。そして 「この音はなんて楽器なの?」「この魅力的な音色で唄う楽器は何?」きっとそんな疑問を聴く人に与えるまたとない機会となる事でしょう。そしてその疑問の先には、間違いなく Euphonium という楽器が存在する........くぅ〜ったまらん!
たとえ奇跡でも、もしこんなことが実現すれば、世の多くの Euph. 奏者達は、永年の隠遁生活を思い、歓喜に打ち震えきっと涙を流すことだろう.........
日本放送協会、NHK交響楽団、そして大河ドラマの音楽担当プロデューサー、作曲家の先生にお願いしたいなぁ〜......こんな企画実現してくれないかなぁ〜.....

如何でしょうか? 偶然にも Euphonium という楽器と出会い、その魅力にいつの間にか惹かれ、気がついた時には 「報われぬ片思い」こんな思いをしているのは決して私だけではないでしょう?
(少なくとも私のまわりに3人位は居る筈.....)
この楽器を奏するものにとって、Euphonium は何よりも愛すべき楽器です。
そして願わくは聴く人にとっても愛されるべき楽器で有って欲しい........ 
この楽器と出会って、早や20有余年、たとえマイナーで流行らない楽器でも、知名度が低くとも、活動の場所が限られていても、イマイチ中途半端な楽器であっても、そんな事は一向に構わない。むしろそれだからこそ.....
そんな風に思いませんか?この素晴らしい楽器に出会えた事、そしてこの楽器を愛する数多くの仲間と出会えた事に感謝します。そしてこれからも、この楽器を愛する人々との新たな出会いを願います。
私の気力、体力の続く限り、この楽器への「報われぬ片思い」をしつこく続けて行きたいと思います。
21世紀は Euphonium & Euphonium 吹きにとって明るい時代になる事を祈りつつ.....

最後に、
私はこの道のプロでは御座いません。乏しい資料、拙い記憶を頼りに書いたものですので、勘違いや誤りが多々有る事と思います。お気付きの方からご教示頂ければ幸いに存じます。また、御意見、御感想などお待ちしております。

参考文献、楽譜

「200 CD管楽器の名曲、名盤」(立風書房)
「音楽を聴くオーディオ再生」高城重躬著(音楽之友社)
「楽器の音響学」安藤由典著(音楽之友社)
M.P.MUSSORGSKY 組曲「展覧会の絵」
G.HOLST 組曲「惑星」BOOSEY&HAWKS版


[Euphonium Home]
last updated in Apr., 29, 2001